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日本三景の一つ天橋立。砂嘴(さし)という独特の地形は、太古の昔から人々のロマンを刺激し、数々の伝説に彩られた神秘的なストーリーを創り出してきた。
その天橋立の砂浜を舞台に、音風景から立ち上がる質感/静謐を軸にした制作活動を行う原摩利彦と、光で環境をデザインするライティングデザイナー長町志穂が、音と光の演出によって幻想的な世界に創り上げた。

原摩利彦 Marihiko HARA

音楽家 原摩利彦 Marihiko HARA

京都大学教育学部卒業。音風景から立ち上がる質感/静謐を軸に、ピアノを使用したポスト・クラシカルから音響的なサウンド・スケープまで、舞台・ファインアート・映画など、さまざまな形式で制作活動を行っている。ソロ•アーティストとして、《LandscapeinPortrait》(2017)などを全世界でリリースし、ポストクラシカル音楽における地位を確立。国際的第一線アーティストからのコラボレーション・プロジェクトなども精力的に行う。

長町志穂 Shiho NAGAMACHI

ライティングデザイナー 長町志穂 Shiho NAGAMACHI

株式会社LEM空間工房 代表。京都工芸繊維大学卒業、京都造形芸術大学客員教授、大阪大学大学院非常勤講師。公共空間の夜間景観デザイン、建築・ランドスケープの照明計画、あかりを核とする観光まちづくり、光のパブリックアート、照明ブランドのプロデュースなどモノからコトまで様々なプロジェクトを実践。近作、「神戸市メリケンパーク」、「水木しげるロード」、「草津川跡地公園」、「堂島大橋ライトアップ」他

日本を代表する作曲家/アーティスト、池田亮司の《data-verse 1》を展示。
鑑賞者を広大なデータの世界に引き込むオーディオビジュアル作品《data-verse 1》は、ミクロから人間のレベルへ、さらにマクロへと向かう過程を3通りの方法で表現していた。それを、鑑賞者は視覚と聴覚の両面で受け取ることで、広大なデータの世界、現代人の日常にあふれるデータの流れの中へ、と引き込まれていった。音響、視覚、素材、物理現象、数学的概念といった様々な要素を統合的に組み合わせた作品は、既成の概念を超越しようとする池田が、人間の感覚とデジタル技術の限界に挑みながら探求する「極限」、そして「無限」の世界を表現している。自身の言葉によって制限を加えるのではなく、鑑賞者の想像に委ねる、という姿勢を貫く彼の作品世界を体験することができただろう。

池田亮司 池田亮司

作曲家/アーティスト 池田亮司

1966年岐阜生まれ、パリおよび京都在住。日本を代表する作曲家/アーティスト として、音そのものが持つ本質的な特性とその視覚化を、数学的精度と徹底した美学で追求している。サウンドメディアと視覚メディアの領域を横断して活動する数少ないアーティストとして、池田の活動は世界中で注目されている。音/イメージ/物質/物理現象/数学的概念の精緻な構成を用いて、見る者/聞く者の存在を包みこむライブ・パフォーマンス、インスタレーションを発表している。2019年京都府文化賞功労賞受賞、文化庁芸術選奨文部科学大臣賞(メディア芸術部門)受賞
concept, composition: Ryoji Ikeda
computer graphics, programming: Norimichi Hirakawa, Tomonaga Tokuyama, Satoshi Hama, Ryo Shiraki
commissioned by Audemars Piguet Contemporary
with special thanks to The Vinyl Factory
映像システムサポート 株式会社シーマ

この作品《Double Horizon》で、インタラクティブアートディレクターの齋藤達也は、天橋立という場所が本来持つ意味を表現することを試みた。
空のことを「天 (アマ)」といい、またその下に広がる海のことも「アマ」と呼ぶ。なぜ空と海が共通の音で言い表されるのか。水平線のかなたに見える、その境界を望む天橋立の成り立ちにも由来した、二つの世界に挟まれる境界を表現するようなこのインスタレーション作品を、齋藤は天橋立の聖地である元伊勢籠神社参道に展示した。海の水面あるいは、流れていく雲のようにも見える、プロジェクションと霧の装置によって立体的に表現された空間を、鑑賞者が身体的に体験できる空間を創り上げた。

齋藤達也

インタラクティブアートディレクター 齋藤達也

カリフォルニア大学ロサンゼルス校芸術学科、東京芸術大学映像研究科修了後、クリエイティブ・グループAbacusを設立。
人間の知覚や認知についての洞察とメディアテクノロジーによるその拡張を研究の軸として、インスタレーション、ミュージックビデオ、プロダクト、テレビ、書籍等多岐にわたる領域で表現活動を行う。近年ではNHK紅白歌合戦にて竹内まりやの映像演出を担当。
ARS ELECTRONICA CENTER(オーストリア)、TENT LONDON(イギリス)、ジュネーブ現代イメージセンター(スイス)、P2ギャラリー(台湾)、21_21 DESIGN SIGHT、NTT InterCommunication Center、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)、水戸芸術館等国内外で展示多数。
エンジニアリング : 清水快, 姉崎祐樹 (N sketch)
モーショングラフィック : 永末茉莉絵
サウンドデザイナー : 須田伸一 (Twoth)

ライゾマティクス・アーキテクチャーのクリエイティブディレクターである齋藤精一が、作品シリーズ《JIKU》によるスペシャル演出を行った。作品シリーズ《JIKU》は、場所に隠された軸を探るプロジェクトで、光や音でその軸線を表現するサイトスペシフィックな作品である。この「#009」の舞台である丹後国分寺跡は、雪舟の作品、国宝「天橋立図」からも読み取れる場所。雪舟の頭の中にある「視点」を軸として、齋藤は光と音で表現した。

~国宝「天橋立図」について~
雪舟が描いたような天橋立エリア全体を見ることができる場所は実際にないため、数ヶ所から観察したイメージをもとに、雪舟が頭の中で繋ぎ、描いたものと推測されている。2020年、この国宝「天橋立図」が、丹後郷土資料館には約40年ぶりに里帰りした。

齋藤精一

Creative Director / Technical Director 齋藤精一 Rhizomatiks Architecture

1975年神奈川県生まれ。建築デザインをコロンビア大学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からNYで活動を開始。その後、フリーランスのクリエイティブとして活躍後、2006年にライゾマティクスを設立。建築で培ったロジカルな思考を基に、アート・コマーシャルの領域で立体・インタラクティブの作品を多数作り続けている。現在、株式会社ライゾマティクス代表取締役社長。グッドデザイン賞2015-2017審査員。2018年、グッドデザイン賞審査委員副委員長。2020年、ドバイ万博日本館クリエイティブアドバイザー。 クリエイティブディレクター:齋藤誠一(ライゾマティクス・アーキテクチャー)
プロジェクトマネージャー:山口望未(ライゾマティクス・アーキテクチャー)
システムエンジニア:元木龍也(ライゾマティクスリサーチ)
空間デザイン:細野隆人(ライゾマティクスデザイン)
音楽:藤田哲司
音楽プロデューサー:藤井意弘(BACKSLASH)
アシスタント音楽プロデューサー:田中青都(BACKSLASH)

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お問合せ

京都府文化スポーツ部文化芸術課

〒602-8570
 京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
TEL:075-414-4279
Eメール:bungei@pref.kyoto.lg.jp

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